ヴィンセント・ラカ二エロ:ウイルスの分離株、変異株、株とは何でしょうか?


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ウイルスの変異株(Variant)とは何かわかりますか?
分離株(Isolate)や株(Strain)は?
わからないなら、これを見てください。
ヴィンセント・ラカニエロ(Vincent Racaniello)です。
私は40年近くウイルス学者をやってます。
本日説明したいと思うのは、
ウイルス分離株(Isolate)、変異株(Variant)、株(Strain)という言葉です。
その他二つばかりです。
本日は2021/3/1 ですが、十分おわかりでしょう、
パンデミックが約一年間続いていますね、SARS-CoV-2によるものです
多くの人がウイルスについて考えていますね。
親しみが無いかもしれない言葉が使われていますね。
分離株、変異株そして株です。
ですから、話そうと思いました、私が思うところの、これらの言葉の意味を。
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さて、問題としては、この最初のスライドで示すように、
「これらの言葉に、一般的に受け入れられている定義はないんです、」
「株、変異株、分離株について」
「ウイルス学コミュニティにおいてです」
ですから、他すべての人が正しく理解するなんて期待できませんよ。
起こることとしては、誰かの研究室で訓練されると、
皆が何て言ってるのか聞きますよね。
それに意味を結びつけるわけです、あなたはそうしますよね。
それは正しいかもしれないし、そうではないかも。
ところで、この少々の叡智というのは、この論文から来てるんですが、
(「種レベル以下のウイルス命名法」)
Jens Kuhnが筆頭著者で、
2013年にArchives of Virologyで公開されたものです。
この論文から、他いくつかを引用しましょう。
さて、こんなふうに定義が緩いにもかかわらず。。。
例えば、見に行くことができる一つの場所は無いんです、
例えば、変異株の定義がわかるところですね。
あるいは、分離株、株のです。
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私はいくつかの教科書を見てみましたが、事実として、
私の教科書「Principles Of Virology」でさえもです。
他のウイルス学者4人との共著です。
ここでさえ、定義は見つからないんです、これらの言葉の。
次の版では入れるべきと思ってますが。
さて、これを調べてみて、現在のアウトブレイクの文脈に入れてみましょうか。
まずは分離株(Isolate)からです。
分離株とは何でしょう?
分離株(Isolate、名詞)とは、「感染した宿主からのものを分離(Isolate、動詞)し、培養で増殖したウイルスである」。
※Isolateという言葉の定義中に、Isolateが使われている。循環定義。
さて、「分離する」には、意味が含まれています。
つまり、誰かからサンプルを取得するんですが、
ウイルス感染してるかもと思う人ですね。
そのサンプルを細胞に入れて培養するわけです。それがウイルス培養の方法ですね。
ウイルス培養すると、分離株を得られます。
図で描いてみましょう。
鼻咽腔スワブをやります。
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COVID-19が疑われる誰かにですね。
このスワブを試験管に入れますが、この底にはわずかな液体があります。
これが研究所に持ち込まれ、研究所ではこの液体を取り出し、
これを細胞に入れるわけです。そして、培養皿で増やすわけですね。
これが、我々がウイルスを分離(Isolate、動詞)する方法です。
もし、この人にウイルスがいるのであれば、
培養の中で増殖しますから、
この培地をとって、小さな試験管に保存します。
これが研究所で我々がやることですね。
これが、「分離株(Isolate)」の意味です。
実際にウイルスを「分離」したわけですが、
(物理的に分離したわけではない)
ほとんどの場合には、この鼻咽腔スワブを溶液に入れたものから、ゲノム配列決定を行います。
(培養しないで体液から直接ゲノム配列決定する)
実際には、物理的に分離されたウイルスはありません。
ここが非常に重要です。なぜなら、
分離株の意味として、試験管にウイルスがおり、冷蔵庫などに保持するものであって、
単にゲノム配列ではありません。
ゲノム配列は分離株を表してはいますが、分離株ではないのです。
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SARS-CoV-2のゲノム配列は、(多くの研究室が取得したので)数十万とありますが、
それほど多くの分離株はありません。
(ゲノム取得だけして捨てたということ)
ゲノム配列決定をする人は、必ずしもウイルスを使って何かするわけではないんです。
「ゲノム配列は分離株を表すが、しかし、分離株ではない」
「数十万の完全なゲノム配列があるが、そのほとんどは分離株ではない。つまり、細胞培養の中で分離されてはいない」
(ウイルス学では、「培養」と「分離」は同義なので、培養しなければ分離されてはいない)
さて、分離株という名前にしたわけですが、
追っていくためです。
分離株を代表する数十万のゲノム配列がありますが、
それらについて、いくつか知りたいわけですね。
どこから来たのかとか。
いくつか例としては、
これは系統樹ですね、4千くらいのものです。
SARS-CoV-2分離株のゲノム配列です。
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2020年から現在までの、様々な人からとったものです。
これは、NextStrain.orgで見れますよ。
行ってみてください。見回るだけでも様々学べますよ。
この系統樹は、すべてのゲノム配列を得て、比較したものですね。
各々がどれに一番関係しているかなどです。
そうやって系統樹が作れます。
そして、点をクリックしてみると、それは個別のゲノム配列ですから、
それについての分離株があるかもしれないし、ないかもしれません。
で、例としては、ここに最初のうちの一つの分離株がありますね。2019年のものです。
Wuhan/Hu-1/2019です。
そして、分離日付があります。2019/12/26です。
そして系統番号がありますが、後にしましょう。
(7:09まで省略します)